のんちのポケットに入れたい大切なもの

「みぃつけた!」な音楽、もの、ひと、ことばを綴る日記帳

こころのふるさと。

みなさま、こんにちは。

 

今日は、わたしが所属している法人が運営する、ちいさな保育園の卒園式。寒の戻りでずいぶん冷えていますが、雨降りじゃなくってよかったです。卒園児さんは片手でも余る人数だけど、保育園のせんせいをはじめ、給食を作ってくれているスタッフ、送迎をしてくれているスタッフをはじめ、ちっちゃいおともだちも含め、みんなで賑やかに送りだしました。わたしは立場上、「お祝いのことば」を担当したのだけど、正直、子どもたちにとっては「顔は知ってるけど、普段はほとんど会わないおばちゃん」なので(笑)、心は込めつつ、できるだけ短めにして、直接子どもたちと接してくれたスタッフから、ひとことずつメッセージを伝えてもらいました。

 

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この春から高校生になるわたしの娘は、生後6か月で保育園デビューしました。「そんなにちっちゃいときから預けてまで働かなくてもいいんじゃないの?」と、当時の夫のご両親からはチクチクといろんなご意見をいただきましたが、わたしには、「24時間、おかあさんとだけ一緒にいることが、子どもにとってのしあわせとは限らない」(これはあくまでわたしの考え方。いま、24時間お子さんと一緒に過ごしているお母さんやお父さんの考えや状況を云々したい気持ちはぜんぜんありません)という思いや、自分自身が専門職として働き続けたいという思いなどがあり、夫であったひととは話し合ったうえで、非常勤で働き始めることにしました。当時暮らしていた自治体でも、保育園はどこも満員。いろいろがんばってみたけど、結局は「無認可保育園しかありません」ということで…。この「無認可保育園」っていう響きが、当時はとくに「ちょっと心配な保育園」という印象が強くて、あんまりにあんまりだったら、働くことを先延ばしにせざるを得ないのかな…と思いながら、娘と一緒に、ある「無認可保育園」へ見学に向かいました。

 

が、わたしの心配は、保育園の門のところですでに吹っ飛びました。とってもちっちゃな、手作りの門。そこから園舎までは、両側にお花がいっぱいでした。ブロックをみちしるべに辿っていくと、その先にちいさなドアがあって、先生がとっても明るく、あったかく迎えてくれました。「むしろ、ここで娘がお友だちや先生と過ごせるように、わたし、働こう」って、その瞬間に決めました。立派な建物ではなかったし、そこらじゅう補修工事だらけだったけど、先生や保護者たちが、ほんとに手作りで、手弁当で、「みんなの保育園」として大切に守っていこうという姿勢が貫かれていました。その後家族の関係が破綻したために1年ちょっとしか通うことができなかったけど、ほんとに、娘とわたしにとっては「こころのふるさと」のような場所でした。

 

たくさんの宝ものをもらった保育園だったけど、なかでも娘にとっての一生の宝ものは、「おいしく、たのしく食べる」ということ。初めて保育園を見学に行ったとき、小さな門から園舎に入るまでの数10メートルのあいだ、ずっとやさしく漂っていた、「お出しで野菜を煮込む湯気のにおい」を私はいまでも鼻の奥、心の奥に憶えています。できるだけ自然のままに、素材の味を大切にして、みんなでたのしく食べるということに、ほんとにこだわってくださっていたと思います。おかげで娘は、ほんとに、いい意味で「口が肥えた」子に育ちました。もちろんジャンクフードも食べちゃいますけど、それでも、「おいしいもの」にはちゃんと反応できる子に育ってくれたと思います。

 

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おととい私が作ったカレーを、昨日の夕食まで「3連チャン」で食べた(笑)のですが、今回のカレーには、初めて入れたものが2つありました。

 

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①乾燥なすび=出張先の「道の駅」で購入しました。なすびの輪切りを天日で乾燥させたもの。「水でもどしてお味噌汁の具などにどうぞ」って書いてあったんだけど、もしかして、カレーに入れてみたら、ちょっと味にコクが出るかな、と思って入れてみました。

②おからパウダー=「ヨーグルトにトッピングしたり、お菓子の材料にしたり、カレーに入れてもOK」ってパッケージにあったので、「畑のお肉」をいただきましょう、と思って入れてみました。

 

 

そしたら、あなた~~~、いつもと違う、とっても深いお味に仕上がりましたわよ。娘はちっちゃいときはお豆さん大好きだったんですが、最近はあんまりお好みでない。そして「乾燥なすび」も、「え~、そんな変わったモン入れたん?」なんて言われたらムカつくから、「おからパウダー」のことも含め内緒にして、お皿に盛りました。

 

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そしたら、カレーを一口食べた娘が、なんと言ったでしょう????

 

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おかあさん、今日のカレー、クリーミーでめっちゃおいしいやんか。なんで?いつもと違うルー使った?それとも、なんかいつもと違うものが入ってる?

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わぁ~~~、すごい。気付いた。おからパウダーと乾燥なすびのことをバラしたら、「あぁ、なんか、だって、いつもと違うもん。でもコクがあって、クリーミーでおいしいよ」と言って、山盛りのおかわりをしておりました。

 

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娘のこの「味覚」の芽を育ててくれたのは、あの「無認可保育園」の給食だったって、わたし、信じているんです。そして、同時に、この「無認可」って何だろうな、って思う。もちろん、「無認可」=「保育環境としてよろしくない」っていう実例はいくつもあると思います。だけど、そうじゃない保育園も、実はたくさんあるんだと思う。むしろ、 あったかい保育を実践していても、いくつかの条件が整わないために、補助金が受けられなくて、結果として保育料が高くなってしまったり、保育士さんたちの雇用条件にしわ寄せがいってしまったり、いろんな苦境に立たされている保育園があるんじゃないかな、って思います。

 

その後、娘と私は大阪に暮らしの場所を移し、娘はもっとおっきな保育園に通うことになりました。そこはそこで、すてきな保育園だったと感謝しています。ワケがわからず、おとなの事情で、大好きな保育園に突然行けなくなって、住むところまで変わってしまって、まさにキツネにつままれた気分だったであろう娘を、先生やお友だちが自然に受け容れてくれたことは、娘にとってもわたしにとっても、ほんとうに感謝すべきことだったと思っています。でも、わたしと娘の「こころのふるさと」は、あの、ちっちゃなちっちゃな保育園。まるで、だいすきな絵本にそのまま出てきそうな、子どももおとなも、ふんわりと包み込んでくれるような、あの保育園だったんだよね。

 

今日の卒園式の朝、あの門から園舎までの光景と、からだの隅々にまで沁みわたるようなおいしいにおいを想い起こして、あらためて、ありがとうの気持ちがあったかく湧き上がってきた nonchi です・・・。

 

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わたしのブログに載せるお花や雑草の写真を「いいね」って言ってくれたブログ友だちがいて、とてもうれしいです。ふと考えると、わたしが「撮りたい」と思っているお花とか緑の写真って、あの保育園の門からの道の両脇に広がっていた光景が原風景なんじゃないかな、って、この写真を貼りつけながら、思いました。そうだな、きっと♡