みなさま、こんばんは。
久しぶりに、雨と曇りが続きましたね。いまさっきも、またパラパラきてました。そんなに冷たい雨ではないけど、それでもちょっと、ひんやりしますね。
わたし、トレンチコートが好き、というおはなしを書きました。それで、「コートつながり」と、こないだ観た『グリーンブック』のあとから頭の中で流れていた音楽のことをつなげて、ちょっとだけ書こうと思います。
『グリーンブック』のことで、まだまだ書きたいこと、あるんです、実は(笑)。とくに、音楽について感じたことを、書きたくてしょ~がないの。これからご覧になる方は、ちょっとネタバレ気味になってしまうことをお許しくださいませ。
主人公のひとりである、黒人ピアニストのドクター・シャーリーは、普段はかっこよく正装して、圧倒的に白人の観客を相手に、スタインウェイなどの立派なグランドピアノを弾くのですが、映画の後半、クライマックスちかくで、黒人たちが集まる場所(食事もできて、アルコールも飲めて、そして何よりバンドの生演奏で踊れる!!)でアップライトピアノを弾くことになります。そのときの、彼のプレイの力強さと、ノリのよさと、感情の豊かさが、ほんとに、たまらなくカッコいいのです。思わず足でビートを刻みながら、上体が思いっきり揺れてしまいました。もうちょっとノッてしまったら、声を出してしまったかも(笑)。
でも、カッコいいと同時に、ものすごく、深い哀しさもそこにはこもっていたんです。ビリーホリデイの「奇妙な果実」という曲をご存知ですか? 南部で白人にリンチされて殺された黒人の遺体が、木にぶらさがって揺れているようすを、静かに、哀しみを込めて歌った曲です。昼間の肉体労働でクタクタになりながら、でも、一日の疲れを、なかまと呑んで、イカした音楽で踊ることで癒して、また翌日の労働に向かっていく、そういう黒人労働者の姿は、エネルギッシュで、体温がそのまま伝わってきそうで、アツいんだけど、でもその後ろに見えるのは、やっぱり、ことばにするのも苦しいほどの差別に対する、人間としての哀しみに思えました。白人の前でプレイすることが多かったドクター・シャーリーが、自らのルーツを確認しながら、自身を解放して、全身でピアノを弾く姿は、ほんとに美しかったです。
で、そのとき、いろんな黒人ミュージシャンのことを思い浮かべたのだけど、一番最初に浮かんだのが、マーヴィン・ゲイでした。なかでも、このアルバム、『what's going on』。ベトナム戦争に反対して「What's going on?」(この世の中は一体どうなってるんだ?)戦争はもうたくさん、今日、この瞬間にこそ、世界中の人々に互いに愛し合う気持ちを呼び覚ましてもらおう、戦争に反対するデモをを続けていこう!!っていう、この歌が、頭に浮かんできました。
映画を観た日から、家でひとりになれる時間に、流しています。コーヒーを淹れたり、豆乳ベースのラテだったり、いろいろなお楽しみを添えて。
今日は、ちょっと身体が冷えている感じがするので、熱い生姜湯に、おかきを添えてしまいました(笑)。そうそう、「コートつながり」って書きましたが、このアルバムのジャケットが、そりゃぁもう、めっちゃカッコいいのです。「そうよ~、コートはこうやって着たいのよ!!」って言いたくなるかんじ。色合いもすべて、どストライク。何度見ても、ため息が出そうです。
それにしても、もしマーヴィン・ゲイに、「なぁ nonchi 、この世界は、いったいどうなってんだ? そして、あんたは、どうしたいと思ってんだ?」って訊かれたら、何て答えたらいいんだろう。笑ってごまかしたくはないと、それだけは、思ってる。立派な答えは持ち合わせないんだけど、トレンチコートにドキドキしながら、彼の問いかけも、ちゃんと心のどこかに、ちゃんと置いていたいと、生姜湯をすすりながら、考えている、0時前の、わたしです。
訳詞にもいろいろあるのですが、曲と一緒に流れてくるので、今回はこのバージョンを。ちなみに、アルバムのライナーノーツを書いている泉山真奈美さんという方の訳はもっと直接的な表現で、もっとこの曲の社会的な背景がよくわかるかんじではあります。
動画、youtubeからお借りしました。