こんばんは。
昨年末に、はじめて「寅さん」を映画館に観に行きました。しかも、頑固一徹おかんと一緒に。それまでは、なんとなく「わざとらしい人情モノ」みたいな偏見があって、観に行きたいって思ったことがなかったのだけど、50作目で初めて観た寅さんと寅さんにまつわる人びとは、ほんとにあったかかったです。おかんとふたり、ポロポロ泣いて、とてもすてきな年末の夜を過ごさせてもらいました。
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最近、おかんが我が家に泊まりにくることが多いです。できるだけ心穏やかになれる時間を、と、うちの相棒と相談した結果、「寅さん」に辿り着きました。
映画やドラマの配信サービスで「寅さん」が公開されてるので、「最初から観よか」というおかんのリクエストにおこたえして、第1作から観ることにしました。ゆうべ第1作、そして今日、第2作を観ました。
おかんは、途中、何度もポロっときてました。わたしも台所でごはんをつくりながら一緒に観ましたが、悲喜交々全部丸めて、心がぽかぽかっとしてくるようなかんじ。寅さんがマドンナにフラれて、またまたフーテンの寅さんになる、そこは「わかりきってる」のに、それでもなんだかあったかい。そんな一言、言われたいな、とか、言ってあげたいな、と思わずにいられない、すてきなセリフがいっぱいです。
「娯楽」をもたずに、忙しく働き続けて、「遊び」が苦手な頑固一徹おかんが、「寅さん」にハマったみたいです。とてもいい顔して熱中してる。その姿に、ちょっとホッとしています。
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ところで、発売当初から、ブログに書こうと思っていた本があります。この本と、大事なセンパイがつながっていることを知り、「上手に書かなくっちゃ」みたいに気負ってしまってなかなか書けなかったのですが、随分遅くなって、素直にちょっとだけ感想を。
わたしはもともと、映画のパンフレットは「もったいない」から買わない派だったんですが、最近、作品をより理解したいという気持ちで手に取ることが多くなりました。この「わたしの寅さん」も、大変遅ればせながら、寅さんのこと、寅さんにまつわる人たちのことを、もう少し知りたいという気持ちで買いました。ページをめくってみて、まず写真がすばらしい。それと、歴代マドンナや、渥美清さんを知る役者さんたちのインタビュー記事のなかに、「寅さん」の魅力がいっぱい詰まっています。「こんなに素敵な、わたしたちの寅さんを、もっともっと知ってほしい」という思いで語られたことばを、とても大切に編集されていることが伝わってきて、わたしの気持ちもどんどん温かさを増してくるのです。
この本の監修をつとめられている、朝日新聞編集委員の小泉信一さんが、50作目の『お帰り 寅さん』へ私たちをいざなう文章を、こんなふうに締めくくっておられます。
寅さんを待ち望んでいた人も、初めて寅さんに会う人も、誰もが笑いと涙に包まれるだろう。
ほんと、そのとおりでした。50作目で初めて会う寅さんに、笑わせてもらい、同時に泣かされた。そして、昨日からスタートした、おかんとわたしの「寅さん上映会」も、そんな笑いと涙の連続なんだろうな。この本をガイドブックにして、おかんと一緒に映画を何倍も楽しみたいと思います。
恋愛だけでなく、人として生きる道にも、いっぱい灯りをともしてくれる寅さん。
困ったことがあったらな、風に向かって俺の名前を呼べ。おじさん、どっからでも飛んできてやるからな。
寅さんが甥っ子の満男に向かって言ったことば。
わたしのとこにも飛んできてくださいな、寅さん(笑)。加えて、うちのおかんのところにも飛んできてやっておくんなさい。
半世紀遅れて、「こんにちは、寅さん」。
これからが、楽しみです。
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本日の晩ごはんは、豚しゃぶサラダ、もやしのナムル(相棒の作)、平天とじゃがいものお味噌汁、おからの煮物。おかんは、ご機嫌さんで、缶ビールを1本、飲んでおりました。