のんちのポケットに入れたい大切なもの

「みぃつけた!」な音楽、もの、ひと、ことばを綴る日記帳

静かに「これから」を想う、夜。

こんばんは。

 

午後から、予定外のミーティングが立て続けにあって、へとへとなかんじでデスクに戻ったら、友人から「安倍首相が辞任するようだ」とLINEが。

 

「あぁ、やっぱりな」という印象。あまり心を消耗したくなくて、「帰ってからニュースで確認しよう」と、着替えて、車に乗る。

 

エンジンをかけたら、同時にテレビがついて、そしてすでに首相の「辞任会見」は始まっていた。

 

切り替えてCDで音楽を聴こうかと一瞬思ったけど、いや、やっぱり、見ないわけにいかないだろう、そう思って、そのまま流し続けた。

 

「国民の皆様に、心より、心より、お詫び申し上げます」。

 

「心より」を2回繰り返していた。

 

そこに、なんともいえない感情を覚えた。

 

もちろん、わたしも看護師の「ハシクレ」なので、彼の病気については知っていたし、悪化することでどういう苦痛が生じているか、どういう危険が膨らむかということは理解しているつもり。だから、「一患者さん」としては、大事にしてほしいと思う。そのことによる「つまづき」を非難するつもりなど毛頭ない。

 

だけど、だけど、だけど・・・・・

 

なんとも苦々しい気持ちに包まれる。

 

「病をおして、職務を全うするためにがんばってこられたんですね」

 

・・・・・・なのだろうか。

 

質問に立った記者からも「総理、お疲れ様でした」なんていうセリフが出る。それって、何なんだろう。ものすごくもやもやする。

 

「大変な状況のなかを、よくぞがんばってくれました」とは、わたしはやっぱり言えない。思えない。

 

彼のせいで、壊されたものが、どれほどたくさんあることか。

 

彼のせいで、奪われたものが、どれほどたくさんあることか。

 

彼のせいで、泣いたひとが、どれだけたくさんいることか。

 

それらが、この「辞任」によってチャラになってはいけない。させてはいけない。

 

なのに、なんてゆるゆるな記者会見なのだろう・・・・。

 

*********

 

そんな苦々しい思いで帰宅して、ぼんやり「新着ブログ」を眺めていたら、いつもわたしを勇気づけてくれるひとのブログに、こう書かれていた。

 

最も望ましい終わり方ではないが、

まずは圧倒的な数を持ちながらも

改憲を実現させないで辞任まで持ち込めた。 

 

そうか、そうだよ、そうだよね!!!

 

ほんとに崖っぷちの崖っぷちまでいったけど、でも、「悲願」を成就させずに終わらせることはできた。

 

そのことのために、どれだけのひとが声をあげて、初めてのデモに出て、暑い日も寒い日もスタンディングをしたことだろう。

 

わたしも、何度か、「そのなかのひとり」になった。

 

それがなければ、もっともっと、わたしたちはたくさんのものを失くしていたかもしれない。

 

だから、大喜びで祝杯とまではならないのだけれど、今夜は静かに、珍しく、おかんが漬けてくれた梅酒をたっぷりのソーダで割って、飲んでみる。「これから」を想って、今日の出来事を噛みしめて、ちょっとだけ酔っぱらってもいいかな、と思う。

 

大切なのは、「これから」。

 

問われているのは、「これから」。

 

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