のんちのポケットに入れたい大切なもの

「みぃつけた!」な音楽、もの、ひと、ことばを綴る日記帳

「文句あるなら食べんでええ!!」

土曜日に、音楽三昧の夜を過ごさせてもらったので、昨日は相棒ちゃんのリクエストにこたえて夕飯を作ろうと思って、バイト帰りの相棒ちゃんを誘って買い出しに行った。

 

リクエストは、

 

皿うどんと豚汁。

 

なんか、地味やな(笑)。そして、スーパーに着いてから思い出した。「あ、そういえば、ビーフンが1袋ストック引き出しに残ってた」。で、「やっぱりビーフンに変更してくれへん?」と提案して路線変更。「じゃぁリクエスト聞いても意味ないやん」と言わないのが相棒ちゃんの立派なところ。

 

「ビーフンに入れるお野菜」は買ったけど、野菜室にも「これ、入れちゃお」と思う、少し古めのお野菜があったので追加投入してテーブルに出した。

 

そしたら、一緒に食べた相棒ちゃんが、笑いながら言いましたとさ。

 

「おかあさん、お野菜の味しかせぇへん」

 

 

え?そうかな?

 

食べてみたけど、そんなに言うほどじゃないとわたしは思ったよ。しかも、あんた、作ってもらってそれはどうよ?

 

そしたら、ちょっと空気がマズいと思ったんでしょうか、追加で相棒ちゃんが

 

「いや、おいしいねんで。

おいしいけど、お野菜満載やなぁ、

みたいなかんじ(笑)」

 

笑えるフォロー。でも、そこ、「ちょっと空気がマズい」と思った、そのちっちゃい気付き、相棒ちゃんらしい。

 

 

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想い出すのは、わたしが小学生の頃の頑固一徹おかんの料理。

 

ギリギリまで仕事したり、ほかの活動したりして、普通のお家じゃとっくの昔に「ごちそうさま」してそうな時間に超特急で作ってくれるおかんの夕飯。

 

 

「あれはおいしかった」と想い出すものより、「あれ、キツかったな」というほうが多いのは、時効だから言える話。

 

 

「キツかった」メニューの筆頭は、「玉ねぎが半生のオムレツ」(笑)。

 

おかんのオムレツは、牛挽肉と玉ねぎの薄切りとニンジンの千切りを炒めて、卵焼き用の鉄のフライパンに卵液をジュっと流してそこにさきほどの具を載せて、ぐるっと卵を巻くというレシピ。味付けは塩コショウのみ。

 

で、大急ぎで作るもんだから、具材の玉ねぎとニンジンが半生のことが多い(笑)。ニンジンは食感がキツいけど、まだ我慢できた。でも玉ねぎの半生は、子どもの味覚には「苦すぎてたまらん」のだわ。

 

わたしには3歳下の弟がいるのだけど、彼もこの「超特急オムレツ」が大の苦手で。ある時、台所に立つおかんに見えないところで「勝ったほうがちっちゃいオムレツを選べます」というじゃんけんをしていたら、いつの間にかおかんが傍に立っていて、ものすごく激烈に叱られた。

 

「文句あるなら食べんでええ!!」

 

ものすごくおっきな声で、ものすごく烈しく叱られた。弟とふたり、「そんな怒らんでもええのに」とうらめしく思いながら、苦くておいしくないオムレツを、黙々とそそくさと、いただいたのだった。

 

でも、いまなら十分すぎるほどわかる、おかんの怒り。

 

それにも増して、あの忙しさのなかでも、インスタントものを食べさせなかったおかんのこだわりと愛情に、あらためて敬服する。

 

きっと、もっと手の込んだ、おいしそうなものを作ってあげたかっただろうと想像する。だけど、彼女の天秤では「我が子のおいしい夕飯」よりも「世の中の理不尽さに抗うこと」がまさっていたのだなぁ。「わたしはあんたらのおかあさんだけをやってるわけじゃないねん」と、子どもには理解し難い深い話をされたこともあった。

 

わたしは、いいか悪いかは別にして、そういうおかんの姿を再生産することには抵抗があって、結果、「世の中の理不尽さに抗うこと」が二の次、三の次になって、つまりはいまの世の中の片棒を担いでいるのだよな、と思う。

 

それでいいのか、と思う。

 

思いながら、今日も、暮らしている。

 

そんなことを思いながら、ゆうべの残り物のビーフンをチンしていただいた。

 

 

 

 

 

やっぱり、野菜の味、すごく、したわ。

野菜のなかに、ビーフンが入ってるようなバランス(笑)。

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ばあちゃん、わたし、相棒ちゃん、女3世代の歴史とこれからについて、ぼんやり考えながら、ちょっとのびたビーフンを頬張ったお昼休憩だった。